家族と自分を愛するヒント集

自己肯定感を下げてしまう「思考のクセ」に気づき、心穏やかに過ごすヒント

Tags: 自己肯定感, 思考パターン, 心のケア, ポジティブ思考, 人生後半

なんだか心が晴れないと感じたら?無意識の「思考のクセ」に気づいてみませんか

子育てや介護が一段落し、ご自身の時間が増えてくるにつれて、ふと立ち止まり、これからの人生について考え始める方もいらっしゃるかと思います。そんな時、これまでの経験を振り返る中で、漠然とした不安を感じたり、「これでよかったのだろうか」と自信をなくしたり、自己肯定感が揺らぐような気持ちになることがあるかもしれません。

夫との会話が減った、成人した子供との関係が希薄になった、親の介護で家族間の意見が食い違う…日々の暮らしの中で生じる様々な出来事が、さらに心を重く感じさせることもあるでしょう。

もし、あなたが今、「なんだか心が晴れない」「自分に自信が持てない」と感じているとしたら、それはもしかすると、あなたが無意識のうちに持っている「思考のクセ」が影響しているのかもしれません。

私たちは誰でも、物事を捉える際に、自分なりの考え方や受け止め方のパターンを持っています。そのパターンが、時に私たちの心を縛り付け、自己肯定感を低下させてしまうことがあります。

この記事では、自己肯定感を下げやすい代表的な「思考のクセ」を知り、それに気づき、そして少しずつ変えていくための具体的なヒントをご紹介します。自分の思考パターンに気づくことは、自分自身を大切にする第一歩です。心穏やかに、自分らしく過ごすためのヒントとして、お役立ていただければ幸いです。

あなたの心を重くする?代表的な「思考のクセ」を知る

私たちが無意識のうちに使っている「思考のクセ」は、認知の歪みとも呼ばれ、現実をありのままではなく、特定の偏ったレンズを通して見てしまうようなものです。自己肯定感を低下させやすい、代表的な思考のクセをいくつかご紹介します。

自分の「思考のクセ」に気づく練習

これらの思考のクセは、長年の間に身についてしまった無意識のパターンです。まずは、「自分もこんな風に考えてしまう時があるかもしれない」と、自分自身の思考に注意を向けることから始めてみましょう。

  1. 心の中で思ったことを「書き出す」 ノートやメモ帳に、ふと心に浮かんだ考えや、感情が動いた時に頭の中でぐるぐる考えていることを書き出してみましょう。「こんなことを考えるなんて…」と批判せず、ありのままに書き出すのがポイントです。書き出すことで、頭の中が整理され、自分の思考パターンを客観的に見られるようになります。

  2. 感情とセットで思考を振り返る 不安を感じた時、落ち込んだ時、怒りを感じた時など、ネガティブな感情が生まれた瞬間に立ち止まり、「その時、自分は頭の中で何を考えていたのだろう?」と振り返ってみましょう。感情と思考は強く結びついています。感情のトリガーとなった思考に気づくことが大切です。

  3. 「なぜ、そう思うのだろう?」と問いかける ネガティブな考えが浮かんだ時に、「なぜ、自分はそう考えるのだろう?」「その考えには、どんな根拠があるのだろう?」と自分に問いかけてみてください。立ち止まって考えることで、無意識の思考のクセが見えてくることがあります。

これらの練習を通して、ご自身の思考パターンに気づき始めることができるでしょう。「あ、また白黒思考になっているな」「これは一般化しすぎかもしれない」のように、自分の思考のクセに「名前をつける」ことが、次のステップへの第一歩となります。

ネガティブな「思考のクセ」を少しずつ変えるヒント

自分の思考のクセに気づくことは大切ですが、それに囚われすぎたり、自分を責めたりする必要はありません。次に大切なのは、そのクセに気づいた上で、より現実的で自分を大切にできる考え方に、少しずつ「修正」していく練習です。

  1. 思考の「証拠」を探してみる ネガティブな考えが浮かんだ時に、「本当にそうだろうか?」「その考えを裏付ける証拠はどれくらいあるだろうか?」「逆に、そうではないという証拠はないだろうか?」と問いかけてみてください。「私は料理が全くできない」と思った時に、「でも、この前の集まりでは、みんな『美味しい』と言ってくれたな」「このレシピ通りに作れば失敗しないことが多いな」のように、別の側面にも目を向けます。

  2. 他の可能性を考えてみる 一つの出来事に対して、ネガティブな解釈しか浮かばない時は、「他にどんな見方ができるだろう?」「別の可能性はないだろうか?」と考えてみましょう。「子供から返信がないのは、私のことを迷惑に思っているからだ」と思った時に、「今、忙しいのかもしれないな」「後でゆっくり返信しようと思っているのかもしれないな」のように、別の可能性を検討することで、心が少し楽になることがあります。

  3. 思考を「言い換え」てみる練習 白黒思考や一般化しすぎた思考は、極端な表現になりがちです。より現実的でバランスの取れた表現に言い換えてみましょう。

    • 「全てがダメだ」→「今回はうまくいかなかった点もあったけれど、良かった点もあった」
    • 「いつも失敗ばかりだ」→「時には失敗することもあるけれど、成功した経験もたくさんある」
    • 「〜すべきだ」→「〜できたらいいな」「〜しないという選択肢もある」
  4. 自分への「優しい言葉」を選ぶ練習 他人に対しては優しくなれても、自分自身には厳しい言葉をかけてしまうことがあります。もし親しい友人が同じ状況にいたら、あなたはどんな言葉をかけますか?その優しい言葉を、自分自身にもかけてあげてください。完璧でなくても大丈夫だと認め、頑張っている自分を労う言葉を選びましょう。

これらの思考修正の練習は、すぐに完璧にできるものではありません。まるで新しい言語を学ぶように、根気強く繰り返すことで、少しずつ身についていくものです。練習する中でうまくいかない日があっても、自分を責めず、「今はこんな風に考えているんだな」と客観的に見つめることが大切です。

まとめ:自分自身を大切にする第一歩として

自己肯定感を下げてしまう「思考のクセ」は、多くの場合、ご自身を守るために無意識のうちに身についたものです。それに気づき、向き合うプロセスは、決して自分を否定することではありません。むしろ、ありのままの自分を受け入れ、これからの人生をより心地よく生きていくための、自分自身への優しさであり、大切な一歩です。

思考のクセに気づき、少しずつ変えていくことで、同じ出来事に対しても、感じ方や受け止め方が変わってくるのを実感できるかもしれません。心の中に生まれるネガティブな感情に振り回されることなく、穏やかな心持ちで日々を過ごせるようになるでしょう。

今日ご紹介したヒントが、あなたがご自身の心と向き合い、自己肯定感を育みながら、心穏やかに過ごすための一助となれば幸いです。あなたは、ありのままの自分で素晴らしい存在であることを、どうぞ忘れないでください。