毎日に潤いを 自分だけの「好き」を見つけるシンプルな方法
毎日に潤いを 自分だけの「好き」を見つけるシンプルな方法
お子様が独立されたり、親御様の介護が始まったりと、人生の節目を迎えられる中で、ご自身の役割や毎日の過ごし方に変化を感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。気づけば誰かのために時間を使っているばかりで、「自分のための時間」が少なくなってしまった、あるいは何をして良いのか分からなくなってしまった、と感じることもあるかもしれません。
そんな時、自分自身の心に潤いを与え、日々の暮らしを心地よくするために大切なのが、「自分だけの小さな『好き』」を見つけ、大切にすることです。大きなことや特別なことである必要はありません。ほんの些細なことでも、心がほんのり温かくなったり、気分が少しだけ明るくなったりする。そんな「好き」が、あなたの自己肯定感を高め、これからの人生をより豊かにしてくれるでしょう。
なぜ今、「小さな好き」を見つけることが大切なのでしょうか
これまで家族のために尽くされてきた日々の中で、ご自身の願望や興味を後回しにしてきた方もいらっしゃるかもしれません。時間の使い方が変わり、ふと立ち止まった時に、何をしたら良いのか戸惑ったり、漠然とした寂しさを感じたりすることもあるでしょう。
「空の巣症候群」という言葉に代表されるように、ご自身の主な役割(子育てなど)を終えられた後に、一時的に目的を見失ったように感じるのは、決して特別なことではありません。また、親御様の介護など、新たな責任が生じる中で、自分自身の時間を持つことに罪悪感を感じる方もいらっしゃいます。
しかし、ご自身の心を満たすことを大切にしないと、心のエネルギーは減ってしまい、結果としてご家族に対しても優しく接することが難しくなることもあります。自分自身を大切にすることは、決してわがままなことではなく、ご自身とご家族、双方にとって必要なことなのです。
小さな「好き」を見つけ、育むことは、日々の生活に彩りを与え、心の平穏をもたらします。そして、「これが好きだ」「これを楽しんでいる自分」を肯定することで、自然と自己肯定感も育まれていくのです。
日常の中に潜む「小さな好き」を見つけるヒント
では、具体的にどのようにして「小さな好き」を見つければ良いのでしょうか。難しく考える必要はありません。まずは、いつもの日常に少しだけ意識を向けてみましょう。
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過去の自分を振り返る:
- 子供の頃や若い頃に夢中になっていたことは何でしたか?
- 昔好きだった本や音楽、映画は何でしたか?
- 学生時代に熱中した部活動や趣味はありますか? 忘れていた興味が、思わぬ形で今のあなたの「好き」に繋がるかもしれません。
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五感を意識して日常に目を向ける:
- 毎日の食事の中で、「美味しい」と感じる瞬間はありますか?
- 散歩中に出会う花の色や空の模様に心が動かされることは?
- お気に入りの香りの入浴剤や石鹸はありますか?
- 肌触りの良いタオルや、着心地の良い服を着る時の感覚はどうでしょう?
- 静かな時間の中で耳を澄ますと、どんな音が聞こえますか? 日々の何気ない瞬間に、心地よさや小さな喜びが隠れています。
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「嫌い」や「苦手」から逆説的に考える:
- これはやりたくない、と感じることは何ですか?
- どんな状況やものにストレスを感じますか? 「嫌い」の反対側に、あなたの「好き」のヒントがあることがあります。例えば、「人混みが苦手」なら、静かな場所や自然の中で過ごす時間が「好き」かもしれません。
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ほんの少しだけ新しいことを試す:
- いつも通らない道を歩いてみる。
- 普段読まないジャンルの本を手に取ってみる。
- 気になっていたお店に一人で入ってみる。
- オンラインで短時間の講座を覗いてみる。 小さな冒険が、新しい「好き」との出会いを運んできてくれることもあります。
見つけた「小さな好き」を育むために
「これかな?」と思う「小さな好き」が見つかったら、次はそれを大切に育んでみましょう。
- 意識的に時間を確保する: たとえ15分でも30分でも構いません。「この時間はこれをする」と決めて、そのための時間を作りましょう。
- 完璧を目指さない: 義務感になってしまっては本末転倒です。「これをやらなければ」ではなく、「これができたら嬉しいな」くらいの軽い気持ちで取り組みましょう。
- 一人で楽しむことを恐れない: 誰かと一緒でなくても、あなたが心から楽しめることなら、それは素晴らしいあなたの時間です。
- 記録してみる: どんな時に、何をしている時に「好きだな」「心地よいな」と感じたかをメモしてみましょう。ノートに書いたり、スマートフォンのメモ機能を使ったり。記録することで、自分の「好き」の傾向がより明確になります。
- 誰かに話してみる( optional ): もし話せる相手がいれば、「最近これにハマっていて」と伝えてみるのも良いでしょう。共感を得られたり、新たな情報が得られたりする可能性もあります。無理に話す必要はありません。
「小さな好き」が自己肯定感を育む理由
自分だけの「小さな好き」を大切にすることは、直接的に自己肯定感を高める行動に繋がります。
- 自分の感情を優先する練習になる: 自分の「心地よい」「楽しい」という感情を無視せず、それに従って行動することは、「自分の気持ちは大切にされるべきものだ」という感覚を育みます。
- 「できている自分」を肯定できる: 「〇〇を楽しめた」「〇〇をする時間を作れた」という小さな達成感が、「自分はできる」「自分には価値がある」という肯定感に繋がります。
- 自分自身の多様な側面に気づく: これまで知らなかった自分の興味や才能に気づくことで、「自分にはこんな一面もあったんだ」と、自分自身をより深く肯定的に捉えられるようになります。
まとめ
人生の後半は、これまでの経験を活かしながら、ご自身の心を満たす時間を意識的に作っていくことができる素晴らしい時期です。忙しい日々の中や、家族のことが中心の毎日の中で、ついご自身のことを後回しにしてしまうこともあるかもしれません。
しかし、あなたの「小さな好き」は、あなた自身の心に潤いを与え、自己肯定感を高めるための大切な宝物です。完璧を目指す必要はありません。まずは今日の帰り道、空を見上げてみることから。あるいは、明日の一杯のコーヒーを、いつもより少し丁寧に淹れてみることから始めてみませんか。
自分だけの「小さな好き」を大切にすることは、自分自身を愛することに繋がります。そして、満たされた心は、きっと周りの大切な人たちにも温かく寄り添う力となるでしょう。これからの日々が、あなたの「好き」で彩られる豊かな時間となりますように。